帝京大学 臨床研究センター

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よくあるご質問

人を対象とした研究を考えています。次の場合、倫理審査は必要ですか?

症例報告の場合

症例報告は、倫理指針では、「研究目的でない医療の一環」という位置付けであり、「研究に該当しない」と判断されます(ガイダンス、p.5参照)。すなわち、「症例報告=倫理審査の対象外」であり、本学倫理委員会では審査の対象といたしません。インフォームド・コンセントの必要性や、個人情報保護については、学会や雑誌の規定等に則ってご対応ください。

(参考)ICRweb 臨床研究の基礎知識講座(帝京大学版)「10.人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の解説(田代志門先生)」

必ずしも倫理審査が要らないもの(学会報告や論文化のために行われるものではない行為)
①「研究」ではないもの(学会報告や論文化のために行われるものではない行為)
・特定の患者の治療やケアのために実施されるもの
②「研究」ではあるが、指針の対象外のもの
・「非個人情報」のみを用いた研究
・一般に入手可能な試料・情報
③「研究」ではあるが、「医学系」に該当しないもの
・健康増進や治癒・QOLの向上に関する知見を得ることを目的としないもの(いわゆる「文系」の研究含む)

論文投稿後に査読者から追加解析を要求され、既に収集されたデータを用いて新たな解析をする場合

新規のデータ収集がなく、倫理委員会で承認された研究期間内の解析実施であれば、研究倫理上は問題なく、手続きも不要です。

外部の医療情報データベースを用いた研究の場合

既に作成された匿名加工情報(認定業者によって、その情報からは個人を同定することが完全に不可能な状態に加工された情報)を用いるのであれば、本学での倫理審査は不要ですが、新たに匿名加工情報や仮名加工情報を作成して利用するのであれば、本学での倫理審査が必要です。

他大学で採取した臨床検体を本学に提供してもらい、それを用いて研究する場合

疾患に関する情報(=個人に関する情報)が伴うため、倫理審査の対象となります。

他大学で採取した患者由来の細胞を、本学で実験動物に移植する研究を行う場合

まず、他大学の研究責任者に、「本学を共同研究機関に加え、 本学に試料を提供する」ことについて、その大学の倫理委員会の承認を得てもらうよう依頼して下さい。その承認後、本学で医学系研究倫理委員会に申請をして下さい。同時に、動物実験倫理委員会にも申請の必要性について相談し、必要な場合は申請ください。

ある多機関共同研究に参加することを予定しているが、当施設は直接、同意取得せず、研究対象者のリクルートのみ行う場合

研究計画書において、当施設が研究協力機関ではなく、共同研究機関に該当するのであれば、本学での倫理審査ないし主機関での一括審査の対象機関に含める必要があります。

研究計画を立案しています。次の場合の注意点を教えて下さい。

介入研究を考えている場合

介入研究を起案する際には、介入の利益が不利益を上回るかどうかを事前にしっかりと検討して下さい。すなわち、
(1) 社会的もしくは臨床的意義を有したリサーチクエスチョンであること
(2) 観察研究によって、関連するデータが十分に蓄積されていること
を確認して下さい。
倫理委員会における審査のポイントについては、大久保孝義先生(本学倫理委員会委員長)の講義(第12回TARCセミナー)をご参照ください。

過去に先行研究がなく、サンプルサイズの計算が困難の場合

パイロット研究として、現実的に組み入れ可能な人数と可能とする根拠を記載して下さい。
統計解析に関してご相談されたい場合は、TARCにご連絡いただくか、帝京大学で行っている統計相談(相談日等は医学系研究倫理委員会ホームページでご確認ください)をご利用ください。

後ろ向き観察研究で、目標症例数を設定する場合

後ろ向き観察研究の場合は、参加施設の診療実績を基に、組入れられる予測患者数を記載して下さい。その人数で主要評価項目の評価が可能と判断した根拠を記載してください。
統計解析に関してご相談されたい場合は、TARCにご連絡いただくか、帝京大学で行っている統計相談(相談日等は医学系研究倫理委員会ホームページでご確認ください)をご利用ください。

研究者自身が研究対象者となり、試料が採取される場合

研究者自身が研究対象者になる場合であっても、通常通り、説明文書・同意書・同意撤回書を作成し、記録を残す必要がありますので、ご注意ください。

利害関係者(学生・教職員等)を研究対象者とする場合

学生や教職員を対象とする場合は、「参加は自由意思であること」、「成績や業務評価に影響しないこと」を担保できるよう、記載して下さい。

なお、単位認定の権限を有する科目責任者や、業務評価を行う所属長が、インフォームド・コンセントを受けるための説明を行うことは、通常認められませんので、ご注意ください。

非患者 (ボランティア・住民・社員・学生・教職員等)を研究対象者とする場合

非患者 (ボランティア・住民・社員・学生・教職員等)を対象者とする研究は、診療目的も兼ねて来院・検査等を行うことが多い患者と異なり、多くは研究のためだけに実施場所に行き、検査等を実施する方が対象となります。そのため、患者対象の研究に比べ、倫理的配慮がより重要となります。研究計画では、リクルート方法、インフォームド・コンセントを受ける方法・場所、実施場所を詳細に記載してください。

なお、非患者が対象である場合、基本的には病院での実施はできないことをご留意ください。病院で行う理由がある場合は、その旨を病院側に伝え、事前に実施許可を取得してください。採血や処置などが必要になる場合も病院の資源(人材、器具等)は使わないことが原則です。どこで誰が行うかを明確に記載してください。また、有害事象等発生時の対応についても保険を含めた検討と記載が必要です。

研究計画書を作成する際の注意点を教えて下さい。

全般的な記載方法

研究対象者の組入基準、測定項目など、複数の項目を列挙して説明する必要があるものについては、箇条書きにして記載して下さい。

(例)
適格基準
・18歳以上で同意が得られた者
・ 〇〇病と診断された者

研究目的と主要評価項目との整合性

「何を明らかにしようとするのか」の欄に、研究目的を明確に記載して下さい。そして、その研究目的と整合する具体的な評価指標(〜率、〜値、〜の割合など)を主要評価項目として設定して下さい。

(例)
「何を明らかにしたいのか」 → 〜の血糖降下作用を明らかにする
「主要評価項目」 → 24週間後におけるHbA1cのベースラインからの変化量

研究デザインとデータの内容・取得方法との整合性

研究デザイン、取得するデータの内容、データを取得するタイミングをそれぞれ明確に記載してください。加えて、以下の点を留意し、研究計画書上で、齟齬が生じていないかを確認してください。

<データ取得のタイミング>
・後ろ向きのデータ取得のみで完了する場合は、「後ろ向き」と明記して下さい。
・今後、研究対象者から新たにデータを取得する場合は、「前向き」と明記してください。

<データの内容>
・取得データが、日常診療で取得しているデータのみであれば、観察研究に該当します。
・研究のために検査項目を前向きに追加取得し、経過を追跡する場合は、観察研究に該当しますが、インフォームド・コンセントまたは適切な同意を受けることが必要です。

費用について教えて下さい。

倫理審査の費用

本学からの審査依頼では特定臨床研究の場合に審査料がかかります。外部機関からの審査依頼では指針研究にも審査料が必要となります。
最新の審査費用は、医学系倫理委員会のホームページにて確認してください。

EDC構築の費用

TARCに委託する場合、学内料金は、20~100万円です(大学院生の場合は無料になる場合があります)。

帝京大学内で資金的な支援

臨床研究保険に対しては、帝京大学として金銭的援助をできる場合があります。こちらの資料をご参照ください。
※書類のパスワードは、問い合わせ先までお問い合わせください。

その他、研究に向けた準備

データ管理をする場合の注意点を教えて下さい。

トップジャーナルへの投稿などを目標とし、高水準での品質管理(モニタリングや監査に耐えうる)が必要な場合は、第三者(TARCを含む)への委託やEDCの利用をお勧めします。そこまでは不要という場合においても、生データに戻ることのできる記録を残すことは重要です。

モニタリングや監査は、どのように進めたら良いですか?どこかに依頼する方法はありますか?

担当者には知識や経験、トレーニングが必要です。監査は第三者である必要があります。TARCにご相談ください(モニタリングのページもご参照ください)。
TARCではなく、外部委託企業への依頼についてご相談したい場合も、コンサルテーションからご相談ください。

次の場合、研究計画書の変更は必要ですか?

論文作成時に共著者を新たに加える場合

著者に加えるだけで、研究者としての業務に従事しないのであれば、研究計画書の変更は不要です。著者の適格性については、ICMJEの著者要件をご参照下さい。

既に承認された研究計画書にて記載されているデータセットを使用し、別のテーマに関する解析をする場合

同じデータセットを使うのであれば、変更申請は不要です。