臨床研究の専門家として、帝京大学における臨床研究の質の向上を目指します
帝京大学臨床研究センター(TARC)は2012年2月に、臨床研究を遂行する意思のある医療者に対して、より優れた臨床研究を推進するために設立されました。非常に優れた発想の臨床研究でも、その目的や方法を誤ると、残念ながら、多大な労力が無駄になるか、いわゆるインパクトファクターの低い雑誌にしか掲載されないことが多々あります。TARCはできるだけその研究にふさわしい結果を引き出す計画を共に考え、研究の過程においてもその研究がスムーズに遂行されるべく支援するというミッションを掲げております。できれば、臨床研究の発想の段階(つまり何を見たいのかというclinical questionが明確になった段階)でご相談いただけるのが、最も効率的であると思います。また、大学院生であれば、指導教官と十分に議論したうえでご相談できるとより効率的であると思います。
エビデンスに基づく医療が重視される中、エビデンスを求める願望があまりに強いために、いくつかの問題が発生したことは、欧米はもとよりわが国でも発生したことはご承知のとおりです。これは、とりもなおさず、臨床研究に関する正確な知識が十分でないまま臨床研究を実施したことによることが大きいと考えられます、また、ある臨床研究によっては、その解析にあたって、利潤を追求する組織に委ねてきたりしたために起こったものもあると思われます。
このようなことから、臨床研究を取り巻く環境は一変し、厚生労働省が中心となり、臨床研究に関する倫理規定や、臨床研究法、個人情報の取り扱いの規定など多くの変化が起こってきております。このような環境は、臨床に追われる医師にとっては極めて窮屈なものになっており、時間的にも困難を極めており、我が国の臨床研究に関する論文数は一向に増えておらず、アメリカ、中国に大きく水をあけられているのが現状です。ここにも、臨床研究の支援団体としてのTARCの役割があります。特に、臨床研究法で謳われている「特定臨床研究」にあたるものは、「認定臨床研究審査委員会」に研究計画書を提出し、その審査を受ける必要があります。この審査委員会への申請や、その後のやり取りについても支援しております。
是非とも、TARCをご活用の上、我が国はもとより世界に発信できる臨床研究が数多く発出されることを期待しております。
帝京大学臨床研究センター センター長寺本 民生